文字起こしサービスを依頼する際、まず知っておきたいのが起こし方の違いです。どの起こし方を選ぶかによって、文字化の精度、読みやすさが変わってきます。
また、ここで解説する起こし方は、文字起こしを行う業者やライターによって呼称などに若干違いはあるものの、大体どこに依頼してもこのような内容になります。
文字起こしの「起こし方」とは何か
文字起こしの種類-3つの基本タイプ
文字起こしには主に以下の3種類(素起こし、ケバ取り、整文)があります。
| 起こし方 | 特徴 | おすすめ用途 |
|---|---|---|
| 素起こし(逐語起こし) | 「えー」「あのー」などの口癖も一語一句すべて書き起こす | インタビューの精密分析、研究、裁判資料など |
| ケバ取り | 意味の無い言葉、言い間違え、相づち等を取り除く | 議事録、講演録、インタビュー記事のベースなど |
| 整文(リライト) | 文法・表現を整え、読みやすい文章にする | Web記事、広報資料、社内報、メディア掲載用原稿など |
それでは、それぞれの起こし方について、くわしく解説していきましょう。
素起こし(逐語起こし)とは
素起こし(逐語起こし)は、正確性を最優先する起こし方です。
特徴
- 音声に含まれる言葉を、聞こえたまま文字にします
- 感嘆詞、言い間違い、言い直し、相づち、口癖なども可能な限り忠実に再現します
- 読みやすさよりも正確さが求められる起こし方です
メリット
- 研究・分析・検証に向いています
- 言葉のニュアンスや話者の心理的な動きも残るため、研究や裁判用途で用いられます
デメリット
- 文章としては読みづらい
- 文字数・文章量が増えてしまう
向いている用途
- 研究・調査
- 心理・言語学に関する分析
- 裁判資料・議事録(原文保存版)
ケバ取りとは
ケバとは、話の内容的には意味のない言葉のことです。これを削除する起こし方を「ケバ取り」といい、文字起こしにおいてはスタンダードな起こし方になります。
特徴
- 「えー」「あー」「うんうん」などのケバを取り除きます
- 内容を変えず、話の流れも維持します
- 読みやすさと正確さのバランスが良くなります
メリット
- 多くの用途で最も採用される一般的な起こし方です
- 素起こしよりも読みやすく、実用性が高いです
デメリット
- 音声内容によっては、ケバ取りだけではまだ読みづらいこともあります
向いている用途
- 議事録、講演録をはじめ、各種の記録文書
- インタビュー原稿の下書き
- 研修、会議、社内共有用の資料
整文(リライト)とは
整文は読みやすさを重視した起こし方になります。
特徴
- 文法を整え、読みやすい文章に仕上げます
- 話の内容を変えない範囲で構成を修正します
行う処理の例
- 話し言葉を自然な書き言葉に変更
- 読点・句点の追加・削除
- 改行の整理
- 繰り返し、内容重複の削除
- 文脈がわかるよう必要に応じて補足
メリット
- そのまま記事、原稿、資料として使用できます
- 読みやすい
デメリット
- 整文の作業が加わる分、通常の文字起こしより費用が高め
向いている用途
- Web記事、ブログ原稿などデジタルコンテンツ
- 社内報、会員誌
- セミナー、研修会の資料
- 書籍化するインタビュー記事
どの起こし方を選べばいいの?【用途別の選び方】

ここまで、文字起こしの代表的な3つの起こし方を説明してきました。でも、どの起こし方を選べばいいのか、初心者の方ですと悩まれるかもしれませんね。
そこで、それぞれの起こし方について、どんな場面で使えるのか用途別の選び方をご紹介します。
用途別の選び方
| 目的 | おすすめの起こし方 |
|---|---|
| 正確性を最優先。研究・分析に使う | 素起こし |
| 正確性も大事だが、読みやすさも必要 | ケバ取り |
| 公開前提で読みやすさを重視 | 整文 |
| とりあえず一般的な起こし方でよい | ケバ取り |
| 各種のコンテンツ制作として | 整文 |
なお、このサイトからは「整文」まで行う文字起こしは依頼できませんので、ご希望の場合は対応している業者にご依頼ください。
以上、文字起こしにおける代表的な3つの起こし方についてご説明しました。
まとめ
- 文字起こしには、大きく分けて 「ケバ取り」「素起こし」「整文」 の 3 種類がある。
- ケバ取り は、話し言葉特有の「あのー」「えっと」や言い間違い、聞き取りにくい無駄な言葉などを 削除または修正 する方法。
- 素起こし は、音声で聞こえた通りに 一字一句忠実に文字化 する方法。
- 整文 は、ケバ取りまたは素起こしによって得た文字起こしを 読みやすく整える/文章として整える 作業。
- どの起こし方を選ぶかは、用途に応じて変えるのが最も合理的。