録音状態の悪い音声を文字起こし業者が嫌う本当の理由

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録音音声をテキスト化する文字起こしにおいて、録音した音声のクオリティは、起こした文書の出来を左右する重要な要素です。文字起こし業者にとっても、状態の悪い音声は単に聞き取りにくいという以上に、敬遠したくなる理由があります。

文字起こしの対象となる録音音声について

録音音声の品質が悪くなる原因

インタビューや対談などの文字起こしを発注されたお客様からは、次のステップとして録音音声を送付していただきます。

この録音音声ですが、すべてがクリアな音質で聞き取りやすいとは限りません。非常に聞き取りづらい音声もあります。むしろ、スタジオでアナウンサーが話したような話を録音した良質な音声なんて、実際の文字起こし案件ではほぼ皆無といえます。

文字起こしの対象となる録音音声の状態が悪くなってしまう原因は、いくつか考えられます。

録音した場所がうるさくて雑音が多い、マイクの音が反響してしまう、話者人数が多くて声を拾えていない、滑舌が悪い・早口・訛りなど話し手に何らかの問題がある、録音機器やソフト・アプリの性能不足、あるいは録音者の知識・技術不足など、理由はさまざまです。また、これらの原因が複数重なってしまうことも珍しくありません。

昨今は、自動で文字起こしをしてくれる音声認識ソフトも出回っていますが、その精度は音声の状態に左右されてしまうという弱点があります。

専門業者なら、どんな音声でも文字化できる?

こうした録音状態の悪い音声について、「文字に起こせますか」というお問い合せをいただくことがあります。

正確に起こせるかどうかは音声を聞かないと判断できませんが、だいたいの目安としては、お客様ご自身が聞いてみてよくわからないレベルですと、当方も聞き取れないことが多いです。

小音を増幅して大きな音にしたり、ノイズを取り除いたりは、ある程度は改善できますが、やはり限界はありますね。

なかには、文字起こしを商売でやっている業者なんだから、どんなに状態の悪い音声でも文字化できるんじゃないの? と思われている方もいるようです。

残念ながら、そんなことはないですね。たしかに、声紋分析などを駆使して、人間の耳では聞こえない音まで再生する研究所のようなところもあります。犯罪捜査などに利用されたりしますが、ふつうの文字起こし業者では、そこまでは技術的に無理だと思います。

専門業者が録音状態の悪い音声を嫌う本当の理由

それともう一つ、録音状態の悪い音声の文字起こしが難しい理由があります。それは、文字起こし業者にとっては、難しい案件を頑張って文字に起こしても、メリットが少ないということです。

録音状態が悪い音声は、文字に起こす作業に時間も手間もかかりますから、商売としては効率が悪いわけです。しかも、正確に起こせませんから納品文書の品質も落ちますので、顧客の満足度も低くなりがちです。

録音状態が悪いときは割増料金を取るという方法もありますが、お客様の承諾もいりますし、時間と手間がかかることには変わりありません。

それなら、ごちゃごちゃ面倒なことをやっているよりも、録音状態の良好な案件をどんどん受けたほうが、ストレスも少ないですし、業務効率もよいわけです。業界の裏事情的な話になってしまいましたが、文字起こし業者の本音ではあります。

録音時の気遣いで音質アップも可能

ですから、文字起こしの依頼が決まっているような場合は、録音時にできるだけ気を付けていただくことをおすすめします。

録音はちょっとした気遣いで音質アップできることもありますから、後々のことを考えて、少しでも良質な音声を目指していただけるとよいと思います。

文字起こしの対象となる音声について、録音のコツをこちらのページでご紹介しております。

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