「この音声、文字化できますか」
文字起こしの現場では、日常的にこの質問を受けます。
結論から言えば、多くの音声は工夫次第で対応可能ですが、残念ながらどうしても文字化が困難なケースも存在します。
この記事では、実際に文字起こし業務を行ってきた現場視点から、「聞き取れない音声」と判断される基準と、依頼前にできる対策を解説します。
なぜ「聞き取れない音声」が発生するのか
録音環境が原因のケース
- 周囲の騒音が大きい
- マイクが遠く声が極端に小さい
- 反響音で言葉が不明瞭になる
- 音が途切れる、こもる
このような音声は、人の耳でも識別が困難な状態です。
★文字起こし現場からのコメント
実際にこれまで受けた文字起こし案件では、喫茶店など飲食店でのインタビュー、せまい部屋・会議室での録音で、こうした事象が発生しがちです。
また、近年増加しているWEB会議などオンラインでの録音では、反響音・音が途切れる、こもる、といった事象がときどき見受けられます。
話し方・話者構成が原因のケース
- 複数人が同時に話す
- 話者が頻繁に入れ替わる
- 語尾が消える・早口・滑舌が悪い・訛り
特に会議や座談会の音声では、これらの要因が重なりやすくなります。
★文字起こし現場からのコメント
実際に文字起こしをしていると、人の話し方は本当に様々です。例えば、「なんか」「っていうか」など頻出する言葉の癖、頻繁に出る吃音、笑いながら喋るなど、十人十色だと実感します。。
プロが判断する「修復可能/困難」の分かれ目
文字起こしの可否は、
「聞き取りにくい」か「聞こえていない」かで大きく変わります。
修復可能なケース
- 音は小さいが存在している
- ノイズ越しでも声が判別できる
- 文脈から補完できる
★文字起こし現場からのコメント
文字起こしの業者によっては、音量増幅やノイズ除去が可能です。「聞こえない」とあきらめずに相談されることをおすすめします。
困難なケース
- 発言が完全に欠落している
- ノイズが音声を上書きしている
- 話者が重なり続けている
この場合、推測での文字起こしは行えません。
★文字起こし現場からのコメント
たまに、「割増料金になってもいいからやってほしい」と言われることがあります。お困りの様子だと本当に心苦しいのですが、技術的に無理な音声はお受けできないことをご了解ください。
「可能/困難」の判断基準が実際の現場でどう適用されるかは、以下記事で具体例を紹介しています。
「録音が悪くても依頼できる?プロができること・できないこと」
また、技術的な可否判断とあわせて、情報管理の考え方も依頼前に確認しておきたいポイントです。
「文字起こし業務における守秘義務・情報管理の実態」
実務上「厳しい」と判断される音声の具体例
- 全編にわたって複数人が同時発話
- 極端に専門用語が多い。
- 録音途中で音量が極端に変化する
これらは、現場では事前相談が必須と判断されるケースです。
複数人会話について実際の現場でどう適用されるかは、以下の記事でくわしく紹介しています。
「複数人会話の文字起こしは難しい?話者分離の精度の話」
専門用語が多い場合、実際の現場でどう適用されるかは、以下の記事でくわしく紹介しています。
「専門用語が多い音声の文字起こしはどう依頼する?事前準備のポイント」
実は問題ないケースも多い
一方で、依頼者が不安に感じがちな音声でも、
- 一定のノイズがある
- 方言や訛りがある
- 音質は良くないが会話は明瞭
といったケースは、経験のある文字起こし者であれば対応可能なことが多くあります。
★文字起こし現場からのコメント
方言や訛りがあっても、言葉が明瞭に聞き取れれば文字化は可能です。これまでの実務経験では、現地の人同士が口語調で早口で方言を喋っている会話だと難しいことがあります。
あと、東北・九州・沖縄の一部地域で、方言が強すぎて外国語のように聞こえる場合もお受けできないです。
依頼前にできる3つの改善ポイント
- 録音時は話者にマイクを近づける
- 専門用語・固有名詞は事前共有する
- 不安な場合は必ず事前相談する
これだけで、仕上がりの精度は大きく変わります。
まとめ|「聞き取れない」は事前に防げる
文字起こしで問題になる音声の多くは、
依頼前の工夫と情報共有で回避可能です。
「これは難しいかも」と感じた場合こそ、
早めの相談が、最も確実な解決策になります。
よくあるご質問 (FAQ)
Q1. 文字起こしができない音声とはどんな状態ですか?
A. 音声自体が欠落している、またはノイズで発言が完全に覆われている場合は文字起こしが困難です。
Q2. 音質が悪くても文字起こしできることはありますか?
A. 声が判別できれば対応可能なケースが多く、音が小さいだけなら修復できる場合があります。
Q. プロはどこで「対応可能か」を判断しますか?
A. 音声の有無、発言の連続性、文脈補完の可否を総合的に見て判断します。
Q3. 複数人が同時に話している音声は文字起こしできますか?
A. 一時的な重なりは対応可能ですが、全編で重なる場合は正確な文字起こしが難しくなります。
Q4. 依頼前にできる改善策はありますか?
A. マイクを話者に近づける、専門用語を共有する、事前相談を行うことで精度が向上します。
Q5. 聞き取れない音声でも相談する意味はありますか?
A. 実際には対応可能なケースも多いため、自己判断せず事前相談する価値は十分にあります。
